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エンジニアの価値はどこへ行く?
未経験からVPoEへ―――開発現場の最前線にいる卒業生・メンターに聞く、AIとの共存時代に求められる力とは

INTERVIEW

「〇〇の仕事はAIに代替されるーーー」

そんな言葉を身近に感じる時代になりました。テクノロジーの進化は急加速し、半年前の「当たり前なこと」すらあっという間に「過去のこと」へと更新されています。

しかし、変化のこの波を「追い風」として捉えている方々がいます。

2019年にプログラミング未経験でG’sを卒業し、大手メガベンチャーでのエンジニアキャリアを経て、現在はホライズンテクノロジー株式会社でVPoE(技術部門責任者)を務める望月眞喜さん(以下、望月さん)。そして、彼女の才能を見出し、G’sメンターとして数多くの受講生の挑戦を支え続ける同社代表の大谷祐司さん(以下、大谷さん)です。

未経験から一歩を踏み出した望月さんは、なぜ組織を牽引するリーダーへと飛躍できたのか。AIがあらゆるコードを生成する今、現場の最前線に立つ二人が見据える「エンジニアの本当の価値」とはどこにあるのか。お二人の対話から探ります。

※本記事は、2019年のインタビュー記事「プログラミング未経験から1年後、GMOペパボのエンジニアとして就職できたワケ」の続編として企画されたものです。



ーーまずは望月さん、VPoE就任おめでとうございます!転職されたことにも驚きましたし、さらにVPoEという役職に就任したということで、G’sスタッフみんなで喜んでいます。せっかくなので今日は、そこに至るまでの話をいろいろ深堀りさせてください。前職のGMOペパボで一定の経験を積んだあと、何か変化や成長を望むようになったのは、どんな気持ちがあったのでしょうか。

望月:ありがとうございます。前職には技術力がすごいエンジニアの方々がたくさんいて、東京のオフィスにいらっしゃる方も含め「こういうエンジニアになりたいな」という姿を見せてくれる人がたくさんいらっしゃって、周りのレベルがとにかく高かった。そういう環境でキャリアをスタートできたのは、本当に幸運だったと思っています。

自分のできることが少しずつ増えていって楽しかったんですけど、大きな組織なので、事業部の中でも役割が明確にある中でお仕事をしていて。そのままキャリアを積むのもいいかなと思いつつ、もっとプロダクトを良くするために最初から関わって、みんなで意見を出しながら走っていくような仕事もやってみたいなと思うようになりました。

これまでと同じように、エンジニアがたくさんいるメガベンチャーと言われる会社に行くことも考えましたが、組織がしっかりしている分、役割が限定されてしまうというか。良い意味で専門性を突き詰めるという環境ではあるけれども、私は突き詰めるよりも広げる方に行きたかったので、組織規模が小さく、自分でなんでもやらないといけないところに身を置きたかった、それが一番ですね。

ーーその後、G’sが主催するキャリアマッチングイベント『G’s CROSS POINT(読み:ジーズ・クロスポイント)』に参加されて、ホライズンテクノロジーさんとの出会いに繋がっています。当時、どんな軸でお仕事を探されていたんでしょうか。

望月:実は、前職はたまたまご縁があって入った形だったので、履歴書なり職務経歴書なりを持って会社に面接を申し込んで面接に行った経験がなくて。どういう会社が自分に合っているとかも分からないな、というのがスタートにありました。

じゃあどういう軸で探そうかなと考えたときに、まず「顔の見えるところがいいな」と思って、G’s CROSS POINTに申し込んだんです。最初にそこをちょっと見てみようかなと。G’s CROSS POINTなら、そこまで規模が大きくない会社さんもスタートアップでは多い中で、自社サービスをやっているところも、クライアントワークの会社もいろいろあるというのはある程度分かっていたので。

そこで東京の卒業生の会社も含め、4~5社とお話をして、実際に面接を受けたのはどちらも福岡の企業でしたね。

ーー大谷さん、G’s CROSS POINTではどんな視点で参加されていましたか?また、望月さんの印象や「この人を採用したい」と思ったポイントは何だったんでしょうか。

大谷:どなたにも言えるのは「カルチャーにマッチするか」。仲間として、チームとして合うかどうかというところは見ていますね。

また、組織もちょっとずつ固まってきて、みんなに良い意味で刺激を与えてくれる方を探しているフェーズでもあったので、望月さんはそういう部分にすごく合うなと感じました。大きな会社のやり方とか、「こういうエンジニアが良いエンジニアだ」という型は知っている。でもそこに縛られない柔軟さも感じたんですよね。そのバランスがすごく印象的でした。

ミートアップでは企業の空気感や働く人の雰囲気、開発プロセスの裏側まで話題が展開される/G’s CROSS POINT

ーーお互いの求めていることが合致して採用に至ったんですね。ホライズンテクノロジーに入社されてからは、どんな開発に携わっているのでしょうか?

望月:最初は既存の開発案件に入らせてもらいました。一番最初にやったのは、頼まれていないんですけど開発基盤を整えるっていうことをやったのを覚えてますね。

クライアントさんから「こういう機能つくってほしい」って言われて作っていくのが基本のお仕事なんですけど、人が足りているところにアサインしてもらったこともあって。ちょっと手が空いたので、その会社さんの開発案件に、途中から関わる方がすぐに環境構築して作業を始められるようにするっていうことを一番最初にやりました。

前職だとそれが整った環境だったんですよ。いろんなすごい人たちが整えてくださった中で自分が入って、開発して、目の前の仕事をしていくスタイルだったんですけど、そこが一気に変わったことを実感した部分ですね。それが楽しかったです。

その後は、外部にAPIを公開するサービスの設計からチームで入ったり、大きめのリリースに向けた開発をとりまとめるプロジェクトマネジメント的な役割も経験させてもらっています。

ーー転職前に感じていた「やりたいこと」を、まさに今できているという感じですね。前職の大きな組織での経験は、今の仕事にどう活きていますか?

望月:平準化された開発のフローだったり、開発時にレビューで品質を引き上げていく活動だったりは活きていますね。

あと前職では、長年使われてきたアプリケーションが多かったのですが、「こんなの古くてダメだからさっさとつくり直そうぜ」ということではなく、古いのは古いなりに諦めずにちゃんと良くしていく。そういう粘り強さは、前職で携わっていたサービスやその姿を見せてくれた先輩エンジニアのみなさんのおかげだなと思っていて、それはすごく活きてますね。

ーー規模も性格も異なる開発組織を両方経験した望月さんから見て、キャリアを積む場所を選ぶとき、何を基準にするといいと思いますか?

望月:私の場合は「いろいろ携わりたい」という気持ちが軸にあったので、そこが選択肢になりました。ただ、ひとつ思うのは、今って時代や技術自体がどんどん動いているから、「一つの正解を目指してみんなで走る」よりも、不確実さを受け入れながら動ける組織がいいんじゃないかなと個人的には思っていますね。「ウチのやり方はこれだから」という固定観念で立ち止まってしまう方が今はリスクになりうるなって思うので。

変えちゃいけないところと、変えないといけないところってあると思っていて。カルチャーとかは守らなければいけないと思うんですけど、手段はどんどんアップデートしてもいいというか。

エンジニアとして何を大切にするかとか、何をやりたいかという軸は持ちつつ、その手段が私のように開発以外のところにあるんだったら、そこも選択肢に入れてみるのも良いと思いますね。

ーーところで、改めて“VPoE”という役割について教えていただけますか?また、望月さんをVPoEに任命した理由や背景も聞かせてください。

大谷:VPoEは「良いカルチャーを作る」「みんながチャレンジしたくなる・しやすくなる」という会社にして、みんなが安心して目標を持って働けるような会社にしてもらうためにこの役職を置きました。

なぜこのタイミングかと言うと、うちの場合は、おかげさまで順調に人が増えてきて、今とりあえず目の前を走り続けるということも大切なんですが、うちでずっと働いたときにどんな良いことがあるかとか、どうエンジニアとして成長できるかという道を示したいなと思ったんです。

それでマネジメント体制も作り始めたのですが、望月さんが入社してから会社がめちゃくちゃ良くなったんですよね。望月さんと同じチームのメンバーが、望月さんの良いところを盗んで広げていってくれていたので、カルチャーづくりをリードできる存在だと思いましたし、そこを任せられる人だと思いました。

ーーVPoEの話を打診されたとき、どんな気持ちだったんですか?

望月:正直、あまり考える時間がなかったというか(笑)。うれしい気持ちはもちろんあったんですけど、「私でいいのかな」という気持ちもありました。

ーー具体的にはどんな取り組みをされているのですか?

大谷:「エンジニアわいわいタイム(日々の学びや技術に限らずなんでもシェア&みんなでアウトプットしながらわいわいする時間)」っていう文化的なところを作ってくれたり、「リファクターハブ」といって、一つのプロダクトを、プロジェクトを超えて整理していく過程をみんなで体験したり、新しいメンバーが入りやすいように仕組みづくりをしたりと、チームがチームとして機能するための仕組みづくりとか取り組みをやってくれていますね。

それを「やってくれ」と言われてやるというよりは、「これをやると良いと思います」という感じで始めてくださっています。

ーーそれはとても心強いですね。昨今、「AIがエンジニアの仕事を奪う」という言説が増えています。AI時代のエンジニアに求められることとして、お二人の立場から感じていることはありますか?

望月:これは私がエンジニアになって最初に思ったことなんですが、プログラミングの勉強をしてから世の中のサービスを見た時の見え方が全然違うということがあって。自分でLINEっぽいものを作ってみると、「LINEすげぇ!」ってなるんですよ。自分で似たようなものを作ってはじめて、その凄さと裏側にある構造を知れるっていうのは強みだと思っています。

AIに「LINEっぽいものを作って」って言うと、作れるんですけど、構造は分からないままなんですよね。じゃあ次はリアルタイム通信を別のサービスで応用しよう、という発想にはならないと思うんです。そこに至るには、一度自分で作った経験が必要だと思っていて。

あと、エンジニアってずっと考え続けながらやることが多い仕事だと感じていて。いろんなトレードオフを考えながら「こういう実装にしよう」「こういう機能にしよう」と何千回と意思決定しながら進めていくので、思考の負荷が高い仕事だと思っているので、そういう仕事の価値はなくならないだろうなと思っています。

大谷:僕らの価値って顧客への価値提供なんですよね。「つくること」だけが価値だと思っていたら、それはもう代替されるんですよね。アプリエンジニアがデータベースのことを知るために学習手段が増えたら、力を増幅するための装置になっているなと思っていて、この流れは追い風だなと思っています。

ーーAIが出てきて以降、採用の際に見るポイントは変わりましたか?

望月:コーディングの能力というよりも、「問いの立て方」「課題の設定力」を見るようになってきましたね。あとは根性論になりますけど、粘り強さとか人間らしい部分、スキルというより人間性みたいなところで、AIと協働したときに伸びるかどうかが変わると思っているので、アウトプットだけ見ても分からないなと思っています。

大谷:システム開発とかITで何かを解決することって意思決定の連続なんですよね。なので広い視点に立ち戻って「そもそもこれはどうあるべきなのか」を考えられるような力だとか。スキルはやっていくと身に着けられると思うんですけど、視座を柔軟に変化できる力、何があったら決められるかを考えて情報を集められる力とかは重要になってくるなと思います。

ーー不確実な時代に不安を感じている方がいたら、お二人ならどんなことを伝えますか?

望月:無くなる仕事があれば、新しくできる仕事もあるので、それにチャレンジしてみては、ということを伝えますかね。あとは逆に頭脳労働じゃないところに全振りするとか。料理人やるとか、一次産業やるとか、伝統工芸やるとか、今までちょっと苦しいとされてきたところに価値が揺り戻されるということも十分あり得ると思うので、そういう分野に興味はあるけどやめていた人がいて、「自分の仕事AIに奪われそう」と思っているんだったら、そういう方向に踏み出すキッカケにしてはどうかなと思いますね。

大谷:人生においてかけがえのないものって仲間とか信頼関係だとかだと思っているので、コミュニティに入っておくことは一つだと感じています。仕事がなくなりそうになったときに仲間たちがいるのはすごく大きな価値になってくると思いますし、コミュニティに居れば、新しいチャンスがある。G’sのようなコミュニティはそういう意味でも価値があると思っているので、ぜひ飛び込んでほしいと思います。

ーーぜひこれからもG’sコミュニティを一緒に盛り上げていきましょう!ありがとうございました!



~ 取材後記 ~

こういうインタビューの場の空気を作るのは、取材者の役割だと思っていました。でも当日すごく緊張してしまい、顔見知りのお二人を前にしてもうまくリラックスできずにスタートしました。
そんな自分をほぐしてくれたのが望月さんでした。ちょこちょこ笑いを挟んでくれたり、話を自然に展開してくれたりするうちに、気づけば肩の力が抜けていました。
望月さんは経験も知識も豊かな人なのに、「これが正解」「こうすべき」という言い方を一切しない。いつも、となりに座って同じ方向を向いている感じがあります。「こんなパターンもあるんだよね」「今回の場合だとこう考えたらどう」というふうに、状況を一緒に整理して、一緒に考えていくスタンス。
VPoEという肩書きよりも、その姿勢が、周りの人を動かしているのかなと感じるインタビューでした。

取材協力:ホライズンテクノロジー株式会社
「新規事業の創出」をミッションに掲げ、福岡に拠点を置くITベンチャー企業。 テクノロジーを活用したITサービスの開発、クライアント企業の新規事業立ち上げ支援を行っている。同社代表の大谷祐司さんはG’sのメンターも務める。G’sの卒業生も多数在籍。

ホライズンテクノロジーに在籍中のG’s卒業生とともに記念写真📸

※ちなみに・・・今回インタビューにご協力いただいたホライズンテクノロジー株式会社では、採用を強化中とのことです。興味がある方はコチラを覗いてみてくださいッ!

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