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こわそう、つくろう、ジブンを、セカイを。G’s卒業生が綴るエッセイ|大貫 翔さん

COLUMN

2025年秋に開催した、ジーズ10周年記念「こわそう、つくろう、ジブンを、セカイを。」エッセイコンテストに寄せられた、G’s卒業生が執筆したエッセイをご紹介します。


代わりのいない部品として

「自分を信じられないし、信じたくもない」
そう思いながら日々が過ぎていくのが、私の日常だった。
かつて光を宿していた私は、「スキルを持ってダレカノセカイを変える」

――そんな決意を胸に、社会の歯車となることを決めていたはずだった。

私は高校を卒業してから、右も左も分からないまま社会の歯車として働き始めた。
周りの友人達は大学に進学し、やりたいことを学ぶため専門学校へ入学。
青春を謳歌する友人達を横目に、雀の涙ほどの誇りを抱きながら仕事をする毎日を過ごしていた。

ある日、職場の先輩の何気ない一言で、私の心は壊れた。
「あなたの代わりはいくらでもいる。取り替えればいい。」
まるで、取り替えの効く部品相手に話をしているかのような冷たい言葉で殴られた。
正直、仕事ができる方ではなかったので評判も良くなかっただろう。
ただ、人として見られていないことにショックを受け、その日から私は仕事をするのが嫌になり、自分には誇りも自信もないと決めつけ、殻に篭ってしまった。

それから数年、殻に篭ったまま日々が過ぎ、私は20歳になり成人式を迎えた。
人生の一つの節目となるはずの日、恩師や友人、家族に今の自分を見せたくない思いで、作り笑いを浮かべながら「今日という日を生き抜かなければ」と感情を押し殺していた。
この世界で一番不幸なのは自分だと、本気で思っていた。

そんな私に声をかけてくれたのは親友だった。
式の喧騒の中で交わされた何気ない言葉が、私を救ってくれたのだ。
「お前は頑張ってる。俺の励みにもなってくれて、少しだけでも世界を変えてくれてる。」
「でも、働いてもいないし、人に迷惑をかけて生きとるよ。」
「それでも何かの役には立ってる。」

心がまいっていた私にとって、これだけで十分だった。
たった一人でも自分を信じてくれる人がいる

――その事実が、私の止まった時計を動かした。
私は殻を破り、地元を飛び出し、上京を決意した。
エンジニアとして働けば、スキルで誰かのセカイを変えられると思ったからだ。

だが、現実は甘くはなかった。
スキルも学歴も中途半端な私は、SESで「部品」のように働くこととなった。
そこでは人が次々に入れ替わり、心を壊し、経歴を偽ることすら当たり前に行われていた。私もその一人だった。全ては、目先の利益のために従わざるを得なかった。

数年後、皮肉にもSESで働いてスキルを身につけた私は独立し、フリーランスとなった。
個人で稼ぐことで、少なくとも自分のセカイは変わると思った。
しかし、ここでもセカイは変わらなかった。
経歴至上主義が根強く、人を部品としてしか見ない文化は依然として存在していた。
かつての私と同じように、誇りを失い、自分を信じられない人々が大勢いた。

ふと周りを見渡すと、個人を犠牲にして案件参画を必死に行う人や、目先の利益を追いかける企業が絶え間なく存在していた。
心底、後悔した。

だが、思った。
「このままのセカイで日常を過ごすのはもっと嫌だ。」

そこで私は、G’sに入学することを決めた。
全ては、自分の身の回りの「小さなセカイ」を変えるために。
入学してからは、様々なバックボーンを持つ仲間達と切磋琢磨する日々を過ごした。
毎日が驚きの連続で、新たな発見に胸を打たれた。
自分の殻が一つずつ剥がれていく感覚を、初めて実感した。

やがて大勢の前でプロダクトを発表する機会を得た。
私は夢と、変えたいセカイを語った。
「スキルがあればセカイを変えられる」――このビジョンを大勢に伝えた。
ありがたいことに、その一歩から、身の回りのセカイが少しずつ変わり始めている。

今では、このビジョンを実現するために起業準備をしており、ビジョンに賛同いただいている企業から協業の連絡をいただけるほどとなっている。資金調達などの準備も着々と進んでいるので殻を破りながらもセカイを変えられているつもりだ。

かつての私の上司は、今の私を見て笑うだろうか。
「あなたの代わりはいくらでもいる。取り替えればいい。」
それでも構わない。私は私という部品だから。
でも、その部品は世界を変えるために存在している。

これからも私は、自分を壊し続けるだろう。
そして、身の回りのセカイを壊し、変えていく。
全ては、誰もが「スキルがあればセカイを変えられる」

――そのビジョンを、一人でも多くの人に届けるために。

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